玉ねぎは辛みがあり、気血のめぐりをよくする食材です。脾(ひ)も元気にしてくれるので、胃腸のお悩みにも良いです。生で食べたり、火を通したり、体調に合わせて日々の食事に取り入れてみてもいいかも。
中医学・薬膳における「玉ねぎ」の効能
五味:辛 五性:温
体質タイプ:瘀血・気滞・水滞
- 胃腸を司る「脾(ひ)」を元気にして、食欲不振などに
- 胃腸の巡りが改善して、気の巡りをスムーズに。胸脇部の脹れ、おなかの張り・下痢などに
- 胃腸の巡りが改善して、水の巡りをスムーズに。余分な水の排出を促進してむくみ解消などに
- 血の巡りをスムーズにし、血行促進・血栓などを取り除く
栄養学における「玉ねぎ」の成分
- 硫化アリル
ー玉ねぎの辛みやニオイの元となる成分の「硫化アリル」はアリシンという成分に変化。このアリシンは血行を促進する作用が期待されています。血栓予防や、血液が固まりやすくなるのを防ぐといわれています。また、アリシンは強い抗菌作用があり、免疫力アップするとともに、疲労回復に関わるビタミンB1を助ける働きもします。
- ケルセチン
ーたまねぎの他にもアスパラガスやサニーレタスなどに広く含まれる成分で、黄色く、やや苦みがあるのが特徴。皮ふや粘膜の健康維持に関わるビタミンCの働きを助け、血管なども健康に。他、抗酸化作用や抗炎症作用があるといわれています。
- カリウム
ー細胞の浸透圧を維持する働きをするミネラルで、身体の水分バランスを保ってくれます。ナトリウムを排出して正常な血圧を保つ効果があり高血圧予防に効果が期待できます。つまり、体内の余分な塩分を排出し、「むくみの解消」の効果があります。
玉ねぎは、生のままがいいの?調理した方がいいの?
●中医学の考え方
辛味:理気(気を巡らす)、理血(血を巡らす)。この働きを求めるなら、生が一番辛味があります。
甘味:滋養強壮、胃腸を整える・元気にする。加熱調理すると、辛味が消えて甘みがでますので過熱がおすすめです。
●栄養学の考え方
玉ねぎの辛みやニオイの元となる成分の「硫化アリル」は「アリシン」となります。その「アリシン」は熱に弱く、加熱すると別の物質に変化してしまいます。
一方、ケルセチンは油に溶ける脂溶性なので、油と一緒に摂取することで効率よく吸収できます。
「自分の体調に合わせて、食材を選ぶ」「自分の体調に合わせて、調理方法を選ぶ」という事こそが『薬膳』です。いわゆる薬膳食材や調味料を使う事だけではありません。
「玉ねぎ」を使ったレシピはこちら
薬膳用語解説
- 酸味( 収斂作用 )筋肉を引き締め、汗や尿などの出過ぎを止める /梅やキウイ、柑橘類など
- 苦味( 清熱・瀉下作用 )身体の熱を冷ます、便を下して出す /パセリ、コーヒーや緑茶など
- 甘味( 補益・緩和作用 )滋養強壮、緊張や痛みを緩める /卵、米、トウモロコシなど
- 辛味( 発散作用 )停滞している「気」と「血」の流れをよくする /シソ、ねぎ、生姜など
- 鹹味(塩味)( 軟堅・潤下作用 )固いものをやわらかくし、便通をよくする /イカ、昆布、味噌など
- 熱(ねつ)身体を温め、活性化。エネルギー代謝を向上させる /唐辛子、ラム肉(羊肉)など
- 温(おん)熱より穏やかに、体を温め活性化させる /にんじん、鶏肉など
- 平(へい)体を温めたり冷やしたりしない /卵、白米など
- 涼(りょう)寒より穏やかに、体を冷まし鎮静させる /きゅうり、豆腐など
- 寒(かん)水分を補い、体を冷まし炎症を鎮める /バナナ、昆布など
- 気虚(ききょ)エネルギー不足 :過労や心労で疲れやすい。かぜもひきやすく、身体が冷える
- 気滞(きたい) 気の巡りが悪い :ストレスや不規則な生活で体のリズムが乱れ、イライラしやすい。ガスがたまる
- 血虚(けっきょ) 栄養と潤い不足 :食の乱れや睡眠不足などで、貧血やめまい、物忘れが増える。肌の乾燥も
- 瘀血(おけつ)血の流れが悪い :血行不良で肌あれや肩こり、月経のトラブルが増える。お腹まわりに脂肪がつく
- 津虚(しんきょ) 潤いの不足 :身体を潤す液体不足で、肌や髪の乾燥、目や口の乾きがおこりやすい
- 水滞(すいたい)水の流れが悪い :胃腸が弱く、余分な水分がたまりやすい。むくみ、鼻水、めまいがおこりやすい