朝目覚めるとなんだか体がだるい。雨の日が続くと体調が悪い。胃がむかつく。やる気がないからかな?気を引き締めなきゃ!と気持ちのせいにして無理してはいけません。もしかしたら、身体の中の「水」のバランスが崩れているかもしれません。
東洋医学や薬膳では、水は「津液(しんえき)」とも呼ばれ、飲食物から胃や腸の消化吸収によってつくられるとされています。その水(津液)は全身を巡り、臓器や筋肉、毛髪、粘膜や関節をうるおし、働きを円滑にします。そのため、水(津液)が不足すると、皮膚の乾燥・のどの渇きや空咳・便が固くなる症状がでます。一方、余分な水(津液)がうまく排泄できないと、むくみ・白っぽい痰や鼻水・冷えなどの症状がでます。今の症状を確認し自分に合った薬膳食材で『適切な量の水(津液)が巡っている状態』を目指しましょう。
2つのタイプの症状を確認して自分がどちらのタイプかチェックしましょう。
飲食物から適切な水(津液)が作られないことはまれですが、著しく水分を摂取できていない場合には水(津液)が不足している「津虚(しんきょ)」の状態になります。また、熱中症、下痢や嘔吐によって大量の津液を失う、継続的な精神的興奮、加齢による水(津液)を貯える機能の低下なども原因となります。以下の項目で、2つ以上当てはまったら、水が不足しているので補う事が必要です。
身体を潤してくれる食材の特徴は、みずみずしく、白っぽいものが多いことです。キュウリやトマトなど、熱で水を失いやすい季節の「夏の野菜」もたっぷりと水(津液)で潤してくれます。
穀物・豆類 | 玄米・豆腐 |
動物性 | 鴨肉・牛乳 |
魚介類 | 牡蠣・ハマグリ・クラゲ・イカ・ウナギ |
野菜 | レンコン・大根・白菜・キュウリ・トマト・冬瓜・アスパラガス・セロリ・スイカ |
果物・木の実 | 枇杷・レモン・パイナップル・バナナ・柿・イチゴ・ブドウ・梨・クルミ・ゴマ |
香辛料 | 砂糖・ゴマ油・ハチミツ |
食薬 | キクラゲ(白・黒)・お茶(全般)・百合根・蓮の実・麦門冬・枸杞子 |
胃腸の働きの低下や、排泄機能の低下によって、余分な水が溜まってしまっている状態を「水滞(すいたい)」といいます。水(津液)は重たく、冷たいという性質を持っているため、身体の下部に溜り、冷えをもたらします。以下の項目で、2つ以上当てはまったら、水を巡らせ排泄する事が必要です。
水(津液)を巡らせる食材の特徴は、豆類・ウリ科の野菜・海藻類に多いことです。また、水(津液)を補う野菜類と同じものが多いことも特徴の一つです。「多い場合は排出、少ない場合は補う」という両面の性質を併せ持つ食材が多いです。
穀物・豆類 | 大麦・トウモロコシ・小豆・緑豆・黒豆・エンドウ豆 |
動物性 | 鴨肉 |
魚介類 | アサリ・シジミ・鮭・昆布・海苔・ワカメ・ハマグリ・クラゲ |
野菜 | キュウリ・セロリ・大根・ジャガイモ・冬瓜・モヤシ・ナス・白菜・スイカ |
果物・木の実 | ブドウ・イチゴ・キウイ・パイナップル・梨・サクランボ |
香辛料 | 生姜 |
食薬 | 南蛮毛・ハトムギ・蓮の花 |
日々の食事に自分に合った薬膳食材を追加するのはもちろんですが、ライフスタイルや運動でも少しづつ改善することは可能です。肌の乾燥やむくみを解消して、「水巡り美人」を目指しましょう。
まずは暖かい飲み物をとることが大切です。また、「酸味」と「甘み」を一緒に摂ると、水分補給の効率が上がるため、甘酸っぱい飲み物やフルーツをとると、元気が回復しやすいです。
余分な水が溜まり、体が冷えているため、まずは腰や足など下半身を中心に温めることが大切です。冷たい水分を控えて、温かい飲み物をゆっくりと飲みましょう。また、ウォーキングやヨガ、半身浴などでじわじわと汗をかき水分を排出するのもおススメです。