春になると花粉症や体がかゆくなったり、5月に入るとなんだか体がだるくて動けなくなる。反対に、イライラしやすくなるなんてことはありませんか?これって「五月病」なのかな?中医学で考える、春の特徴や注意しないといけないことを知って、自分で整えられるヒントをご紹介します。
長く寒い冬が終わって、暖かくなる春。冬の間にため込んでいたエネルギーを発散したくなるのか、なんだか気分も高まって、外に出たくなりますよね。春の草花が芽を出し、動物たちも活発に動き始め生命の力を感じます。中医学ではこの時期を『発陳(はっちん)』といいます。
春の三か月間は、これを『発陳(はっちん)』という。天地すべてのものが生じ、万物はこの時期芽を出す。人は夜に臥して早く起き、広く庭を歩む。髪はほどき着物はゆるめて、志を生じさせる。生じてくるものを殺さないようにし、育てて押さえつけることのないようにし、なるべく助長して摘み取らないことである。これは春の気に応じて生を養う道である。これに逆らえば、肝を傷つけ、夏の冷えの病になりやすく、夏に生を長じることができなくなる。
素問・四気調神大論
つまり、春は自然界での芽生えはもちろん、私たちの内面においても、冬の間に表に出さなかった思いや考えを外にあらわして、のびやかに行動することが大切です。これに逆らうと、身体全体の巡りや自律神経をつかさどる『肝(かん)』の気が弱まり、夏に冷えの症状を起こしやすくなるといわれています。
中医学では、季節ごとに私たちに悪影響を与えるものを「邪気(じゃき)」といいます。暖かい空気と冷たい空気が入り交じり、強く風とともにやってくる邪気(じゃき)を「風邪(ふうじゃ)」と呼びます。軽くて、舞い上がって、乾燥しているイメージです。
風邪(ふうじゃ)による具体的な症状は、カゼ・頭痛・くしゃみ・鼻水・花粉症・皮膚のかゆみなどです。
▼「風邪(ふうじゃ)」の特徴
中医学では、「肝(かん)」には解毒や自律神経のバランス、身体全体の巡りを司る役割があるといわれています。その肝(かん)はもともと上昇しやすい性質を持っているため、春に陽気が盛んになると過剰に上昇し血圧の上昇や感情の高ぶりなどの不調をきたします。
肝(かん)の乱れによる具体的な症状は、イライラ、不眠、めまい、血圧上昇などです。
▼「肝(かん)」の特徴
ニラやモヤシなどの成長の早いお野菜や穀物を食べることで「芽吹く力」を得られます。また解毒作用のあるえぐみのある山菜や、旬の葉野菜は高ぶる肝(かん)を調整してくれます。すっぱいものは肝(かん)を必要以上に抑えてしまうので、自然な甘みのものを頂きましょう。
寒暖差の激しい春、衣類の調節やうがい、手洗いをこまめにおこなって、風邪(ふうじゃ)を防ぎましょう。
また、肝(かん)の高ぶりを落ち着かせるために、深い深呼吸やストレッチは効果的です。外をゆったりと散歩をしたり、穏やかに過ごしましょう。
気分転換に、アロマやハーブの香りを楽しむのも良いですね。イライラして眠れないなどの症状には「ラベンダー」を、リフレッシュしたい時には「ベルガモット」が良いそうですよ。